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== 空間における平面の方程式 ==
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1. 法線ベクトルによる平面の方程式
 三次元空間において1点を通り,法線ベクトルに垂直な平面の方程式
内積表示

成分表示
(解説)
 が法線ベクトル に垂直であれば,点 はその平面上にあり,逆にその平面上にあれば が法線ベクトル に垂直となるから,上記の関係が成り立つ.
【例題1】
 三次元空間において点を通り,法線ベクトル に垂直な平面の方程式を求めてください.
(解答)

…(答)
※表示形式が特に指定されていなければ,成分表示で答えるとよい.
【問題1.1】 
 点を通り,法線ベクトル に垂直な平面の方程式を求めてください.
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【問題1.2】 
 点を通り,平面 に平行な平面の方程式を求めてください.
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【類題1.3】 
 直線に垂直で点 を通る平面の方程式を求めてください.
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【類題1.4】 
 点からおろした垂線との交点が となる平面の方程式を求めてください.
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2. 2つのベクトルで張られる平面の方程式
 三次元空間において1点を通り,2つの1次独立なベクトル で張られる平面の方程式
○ベクトル表示

○媒介変数表示



○行列式表示

○スカラー三重積表示

【例題2】
 三次元空間において点を通り,2つのベクトル によって張られる平面の方程式を求めてください.
(解答)…媒介変数を消去する方法(高校数学でできる答案)
 媒介変数表示に直すと
…(1)
…(2)
…(3)
(2)+(3)によりs消去
…(4)
(1)×4−(4)によりt消去

…(答)

(別解1) …垂直条件から法線ベクトルを求める方法(高校数学でできる答案)
2つのベクトルに垂直な法線ベクトルを とおく
により
…(1)
により
…(2)
連立方程式(1)(2)は未知数が3個,方程式が2個なので,不定解を持つ.そこで1文字rについては解かないことにして、p,qをrで表す.
…(1’)
…(2’)
(1’)より,これを(2’)に代入すると,
結局,
とすると

…(答)
(別解2) …ベクトルの外積を用いて法線ベクトルを求める方法(大学数学の答案)

だから,これを平面の法線ベクトルとすると

…(答)
(別解3) …行列式の形で公式にしてしまう方法(大学数学の答案)
 上記の別解2の方法を見ると,次のことが常に成り立つといえる
を通り,2つのベクトル によって張られる平面の方程式は



…(答)

【問題2.1】 
 三次元空間において点を通り,2つのベクトル によって張られる平面の方程式を求めてください.
解答を見る解答を隠す
 この問題を生成AI(ChatGPT, Google Gemini, Microsoft Copilot)で解くには,単に「三次元空間において点(1,4,2)を通り,2つのベクトル(1,-3,1),(2,-6,-3)によって張られる平面の方程式を求めてください.」と書けばよい.また,ベクトルをTeXの形式で書いて「三次元空間において点P(1,4,2)を通り,2つのベクトル¥vec{u}=(1,-3,1),¥vec{v}=(2,-6,-3)によって張られる平面の方程式を求めてください.」のように書いてもよい.
 いずれも,解答は直ちに得られるが,どういう形の問題を練習したらよいか?ということは,高校レベルか,行列を使うか使わないか,など学習者の置かれた状況・能力を詳しく指定しないと,望む解答が得られない.
【問題2.2】 
 三次元空間において点を通り,2つのベクトル によって張られる平面の方程式を求めてください.
解答を見る解答を隠す

3. 3点を通る平面の方程式
【例題3.1】
 同一直線上にない3点を通る平面の方程式を求めてください.
(解答)…連立方程式の不定解を求める方法(高校数学でできる答案)
求める平面の方程式をとおく.
 求める平面はを通るから,次の連立方程式を満たす.
…(1)
…(2)
…(3)
この連立方程式は,未知数がの4個,方程式が(1)(2)(3)の3個だから(1文字分の)不定解を持つ.そこで については解かないことにして, で表す.
…(1’)
…(2’)
…(3’)
(1)+(2), (2)×7+(3)によりcを消去する
…(4)
…(5)
(4)×5−(5)




…(答)
(別解1) …垂直条件を使って法線ベクトルを求める
 点を通り,2つのベクトル で張られる平面と考える.
法線ベクトルをとおく
により
…(1)
により

…(2)
連立方程式(1)(2)は未知数が3個,方程式が2個なので,不定解を持つ.そこで1文字rについては解かないことにして,p,qをrで表す.


法線ベクトルをとすると,平面の方程式は

…(答)
(別解2)…外積を使って法線ベクトルを求める
 点を通り,2つのベクトル で張られる平面と考える.
法線ベクトルは2つのベクトルの外積で得られるから




…(答)

別解2の方法を公式として次の形にまとめることができる.
 同一直線上にない3点を通る平面は, 点を通り,2つのベクトル で張られる平面に等しい.
3つのベクトルが同一平面上にある条件=1次従属である条件から

【3点を通る平面の方程式】
同一直線上にない3点, , を通る平面の方程式は


【例題3.2】
 同一直線上にない3点を通る平面の方程式を求めてください.
(解答)
…(答)

【問題3.1】 
 同一直線上にない3点を通る平面の方程式を求めてください.
解答を見る解答を隠す
【問題3.2】 
 同一直線上にない3点を通る平面の方程式を求めてください.
解答を見る解答を隠す

【類題3.3】 
 原点O(0, 0, 0)を通り,直線を含む平面の方程式を求めてください.
解答1を見る解答1を隠す
解答2を見る解答2を隠す
【類題3.4】 
 2点A(1, 2, 3), B(1, 0, 1)を通り,平面x+y+z+1=0に垂直な平面の方程式を求めてください.
解答1を見る解答1を隠す
解答2を見る解答2を隠す

◆平行な2直線を含む平面◆
【類題3.5】 
 平行な2直線を含む平面の方程式を求めてください.
解答1を見る解答1を隠す
解答2を見る解答2を隠す
◆交わる2直線を含む平面◆
【類題3.6】 
 交わる2直線を含む平面の方程式を求めてください.
解答1を見る解答1を隠す
解答2を見る解答2を隠す

4. 点と平面の距離
【点と平面の距離】
(1) 点から平面 に引いた垂線の長さは


(2) 特に,原点から平面 に引いた垂線の長さは
※(よくある間違い)
 分母はx, y, z成分の3つの数字を使うので,高校生の答案には,ついうっかりを使ってしまう間違いが多い.
 よく見てもらえば分かるように,4個ある数字のうちの3個だけを使って を作る.(間違う人は, に気を使い過ぎて判断ミスをしたのかもしれない.法線ベクトル に関係しているのは で, は法線ベクトルと関係ない)
(証明)
(1)←
 平面に引いた垂線の足をHとするとき,P0Hの長さを求める.
 平面の法線べクトルは とおけるから,直線P0Hの方程式(Hの座標)は

(tは実数)

とおける.この点Hが平面上にあるようなtの値を求める.

より




(2)←
 (1)において点P0の座標をとすれば得られる.
(図解)
 そもそも平面の方程式がだったら, の値は0じゃないのか?そもそも何が問題なのかという初歩的な疑問を持っている人へ
 平面の方程式がで,図の灰色で示される平面であるとき,例えば図の点Hのように にある点は,方程式 を満たすので, の値は0になります.
 しかし,例えば図の点P0は平面 上にないので,一般には の値は0にはなりません.図に示したように,平面 からの距離に関係のある数字 の縞模様となって並びます.ただし, から見て,平面の法線ベクトル と同じ向きにあれば正の値(1, 2, 3, …),逆向きに進んだ場所にあれば負の値(−1, −2, …)になるので,距離を表わすためには,絶対値を付けて

とします.
 さらに, と並んでいる平面の間隔が1目盛り当たり になっているので,実際の距離は

になります.

(別の証明)
 右図においてPHを含む平面がで,平面外の一点がP0であるとする.このとき,点P0と平面とに距離として,P0Hを求めればよい.
 ところで,2つのベクトルの内積は

となるが,ここで

であるから

そこで,平面の法線ベクトルの代わりに,その大きさで割って単位ベクトルにしたもの

との内積をとれば,

となって,点と平面の距離(符号は付いている)に等しくなる.


より

ここでだから

 負の値になれば正に変えるものとして,絶対値を付けると,公式が得られる.


【例題】
(1) 点(1, 2, 3)から平面3x+4y+5z−1=0に引いた垂線の長さを求めよ.
(2) 点P(2, −3, 0)と平面x+2y−2z+1=0との距離を求めよ.
(3) 原点O(0, 0, 0)と平面x+y−z+3=0との距離を求めよ.
(解答)
(1)

(2)

(3)

【例題】
(1) 平行な2平面3x−4y+5z+1=0, 3x−4y+5z−1=0の間の距離を求めよ.
(2) 平行な2平面の間の距離を求めよ.
(解答)
(1) 平面3x−4y+5z+1=0上の1点を適当に選ぶ.
例えば(1, 1, 0)
次に,その点と平面3x−4y+5z−1=0の間の距離を求めるとよい.

(2) 平面上の1点を適当に選ぶ.
例えば(−1, 0, 0)
次に,その点と平面の間の距離を求めるとよい.


【ヘッセの標準形】
(1) xy平面において,原点から直線に下ろした垂線の長さをh,垂線とx軸の正の向きとのなす角をαとすると,直線の方程式は
…(1.1)
 垂線とx軸の正の向きとのなす角をαy軸の正の向きとのなす角をβとすると
…(1.2)
(1.1)(1.2)をヘッセの標準形という.
(2) 3次元空間において,原点から平面に下ろした垂線の長さをh,垂線とx軸の正の向きとのなす角をαy軸の正の向きとのなす角をβz軸の正の向きとのなす角をγとすると,平面の方程式は
…(2.1)
(2.1)をヘッセの標準形という.

5. ヘッセの標準形
【例題】
 x, y平面における直線3x−4y+5=0のヘッセの標準形を求め,原点からの直線までの距離を書け.
(解答)
法線ベクトルの大きさは, だから,両辺を法線ベクトルの大きさで割って単位ベクトルとの積の形にすると

右辺の定数項が正になるように変形すると,ヘッセの標準形は

原点から直線までの距離は1
【例題】
 3次元空間における平面x+2y−2z+4=0のヘッセの標準形を求め,原点からの平面までの距離を書け.
(解答)
法線ベクトルの大きさは, だから,両辺を法線ベクトルの大きさで割って単位ベクトルとの積の形にすると

右辺の定数項が正になるように変形すると,ヘッセの標準形は

原点から平面までの距離は

6. 2平面のなす角
 2つの平面が交わるとき,2平面のなす角 \(\theta\) は各々の法線ベクトルのなす角 \(\lambda\) に等しい.
(証明)
 右図において,平面の法線ベクトルを ,平面 の法線ベクトルを とすると,


だから

が成り立つ.
 ただし,法線ベクトルが平面のどちら向きか(たまたま表裏が同じか,裏と表か)で,法線ベクトルのなす角 となる場合と になる場合がある.(右図の下半分)
 高校数学では,の範囲で答えればよいが,大学の数学では著者によっては,両方とも答えることもある.
【例題】
 2平面のなす角を求めてください.
(解答)
 法線ベクトルは各々
これらの法線ベクトルのなす角を求めると



高校数学では,下の図のように1つの法線ベクトルの向きを表裏逆向きに取ってと答えるのがよい.
大学数学では,初めからという計算をして, またはを答にすることもある.
\(\vec{n_1}\) \(\vec{n_2}\) \(-\vec{n_2}\) \(\frac{\pi}{3}\) \(\frac{2\pi}{3}\)

【問題6.1】 
 2平面のなす角を求めてください.
解答を見る解答を隠す
【問題6.2】 
 2平面のなす角を求めてください.
解答を見る解答を隠す
【問題6.3】 
 2平面のなす角の余弦を求めてください.
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7. 2平面の交角を二等分する平面
 2平面が交わる角度を二等分する平面 は,右図のように2平面 からの距離が等しい点 の軌跡となるから

が求める平面の方程式である.
【例題7】
2平面について,次のものを求めてください.
(1) 交線の方程式
(2) 二平面が交わる角度を二等分する平面の方程式
(解答)
(1)
 例えばとすれば,これら2平面上にある1つの点の座標が求められる.
 同様にして,\(x=0\)とすれば,これら2平面上にある1つの点の座標が求められる.
 これら2点を通る直線の方程式は,1点\(P_1(-1,\hspace{2px}0,\hspace{2px}1)\)を通り,方向ベクトル\(\displaystyle \overrightarrow{\rm{P_1P_2}}=(1,-\frac{1}{2},-1)\)に平行な直線だから
  \(\displaystyle \frac{x+1}{1}=\frac{y-0}{-\frac{1}{2}}=\frac{z-1}{-1}\)
…(答)
連立方程式
\(x-2y=(-2z+1)\)
\(2x+ 2y=(-z-1)\)
を解くと
\(x=(-z)\)
\(y=(\frac{z-1}{2})\)
すなわち
\(x=(-t)\)
\(y=(\frac{t-1}{2})\)
\(z=(t)\)
より
\(-x=2y+1=z\)・・・(答)
(2)

より

()…(答)
(参考)
交線の向きは図の平面に対して垂直な向きとする
は垂直
 ⇔
は垂直
 ⇔
は垂直
 ⇔
は垂直
 ⇔
は垂直
 ⇔
,および交線の上にある
 ⇒
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 ⇒
 ⇒
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