PC用は別頁

== 部分積分 ==

■部分積分の公式
f(x)g(x)dx=f(x)g(x)−f(x)g(x)dx …(1)
特に
f(x)dx=xf(x)−xf(x)dx …(2)
(証明)
(1)←
積の微分法の公式により
(f(x)g(x))=f(x)g(x)+f(x)g(x)
両辺を積分すると
f(x)g(x)=f(x)g(x)dx+f(x)g(x)dx
よって
f(x)g(x)dx=f(x)g(x)−f(x)g(x)dx

(2)←
(1)においてg(x)=1とおくと,g(x)=x (積分定数Cは省略)
f(x)×1dx=f(x)×x−f(x)×xdx
したがって
f(x)dx=xf(x)−xf(x)dx

(部分積分法の使い方)
(1)←
f(x)g(x)dxが計算しにくく

f(x)g(x)dxが上記よりも簡単に計算できるとき

部分積分法の公式により,より計算しやすい積分に直すことができる.

(2)←
f(x)dxが計算しにくく,xf(x)dxが簡単に計算できるときは

(2)が使える.
(覚え方)
f(x)g(x)dx=f(x)g(x)−f(x)g(x)dx …(1)

2×2=4通りの関数の積のうちで
f(x)g(x), f(x)g(x), f(x)g(x), f(x)g(x),
• 関数の積
f(x)g(x)は積分記号 の外にある
• 関数と微分との積
f(x)g(x), f(x)g(x)は積分記号の中にある
• 微分同士の積
f(x)g(x)は登場しない.

【例】
1.xsinxdx
f(x)=xとおくf(x)=1 ←簡単になる
g(x)=sinxとおくg(x)=cosx ←求まる
xsinxdx=x(−cosx)1·(−cosx)dx
=−xcosx+cosxdx
=−xcosx+sinx+C
一般に,被積分関数が多項式と三角関数の積になっているとき,多項式をf(x)に選ぶとf(x)は次数が低くなって簡単になる.
逆に選んだ場合,次の変形になり,論理的には正しいが役に立たない..
f(x)=sinxとおくf(x)=cosx
g(x)=xとおくg(x)=
sinx xdx=sinx cosx dx
cosx dx
は,多項式の次数が高くなるため,元の積分よりも一層込み入ったものになる.

【例】
2.xexdx
f(x)=xとおくf(x)=1 ←簡単になる
g(x)=exとおくg(x)=ex ←求まる
xexdx=xex1·exdx=xex−ex+C

上の例1と同様に,被積分関数が多項式と指数関数の積になっているときは,多項式をf(x)に選ぶとf(x)は次数が低くなって簡単になる.
逆に選んだ場合,次の変形になり,論理的には正しいが役に立たない..
f(x)=exとおくf(x)=ex
g(x)=xとおくg(x)=
ex xdx=ex ex dx
ex dx
は,多項式の次数が高くなるため,元の積分よりも一層込み入ったものになる.

【例】
3.xlogxdx
f(x)=logxとおくf(x)= ←簡単になる
g(x)=xとおくg(x)= ←求まる

xlogxdx =logxdx =logx−x dx
=logx−+C


上記2つの例とは異なり,通常はlog xの不定積分を覚えないので, g(x)=log xと置かない方がよい. このような置き方をすると
log x dx

を求めなければならなくなるからである.次の変形を見よ.
f(x)=xとおくf(x)=1 ←簡単になる
g(x)=log xとおくg(x)=??? ←求まらない

【例】
4.logxdx ← 公式(2)の例
f(x)=logxとおくf(x)= ←簡単になる
g(x)=1このテクニック
を覚える!
g(x)=x

1·logxdx=xlogxx dx=x logx−dx
=x logx−x+C

ここまでの要点
(多項式)×(三角関数または指数関数)
→ 多項式の次数を下げるために,多項式をf(x)とおく
(多項式)×(対数関数)
対数関数の積分を避けるために,対数関数をf(x)とおく


【問題1】次の積分を求めよ.
(正しいものを選べ.
暗算では難しいので,計算用紙を使ってもよい.)

(1) xcos2xdx

xsin2x+cos2x+C xsin2xcos2x+C

xcos2xsin2x+C xcos2x+sin2x+C
(2) xsin2xdx

xsin2x+cos2x+C xsin2xcos2x+C

xcos2xsin2x+C xcos2x+sin2x+C
(3) xe2xdx

(2x+1)e2x+C (2x−1)e2x+C

(2x+1)e−2x+C (2x−1)e−2x+C
(4) xe−2xdx

(2x+1)e2x+C (2x−1)e2x+C

(2x+1)e−2x+C (2x−1)e−2x+C
(5) log(x+1)dx

(x+1)log(x+1)+C (x+1)log(x+1)−x+C

xlog(x+1)−x+C (x−1)log(x+1)+C
(6) x2logxdx

xlogx−x+C logx−x3+C

logx−x3+C logx−x3+C

■部分積分の繰り返し
• (多項式と関数の積)
→階段を下りるように多項式を順次微分していく.
(例1.参照)
• (求めたい関数が自分自身で表されたら
[同じ式が2回出てきたら])
→未知の積分を=Iとおいて方程式のように解くとよい
(例2.参照)
例1.
x2sinxdx

f(x)=x2f(x)=2x ←簡単になる
g(x)=sinxg(x)=cosx ←求まる
x2sinxdx=x2·(−cosx)2x·(−cosx)dx
About . repeat integration by parts such that
s(x)=2xs(x)=2 ←簡単になる
t(x)=cosxt(x)=sinx ←求まる
=−x2cosx−{2x(−sinx)−2(−sinx)dx}
=−x2cosx+2xsinx+2cosx+C
=(−x2+2)cosx+2xsinx+C


もっと複雑な場合は,次のような表を作る.
f(n)(x)f(x)n階微分,g(−n)(x)g(x)n階積分とする
x3sinxdx
(矢印は積を作る向き. 0が登場すれば終了)
符号 微分 積分
+ f(x)=x3 g(1)(x)=sin x
f(1)(x)=3x2 g(x)=−cos x
+ f(2)(x)=6x g(−1)(x)=−sin x
f(3)(x)=6 g(−2)(x)=cos x
+ f(4)(x)=0 g(−3)(x)=sin x
x3sinxdx

=x3(−cos x)−3x2(−sin x)+6x(cosx)−6(sinx)+C
例2.
exsinxdx
f(x)=exf(x)=ex
g(x)=sinxg(x)=cosx
exsinxdx=ex(−cosx)ex(−cosx)dx
部分積分を繰り返す
s(x)=exs(x)=ex
t(x)=cosxt(x)=sinx
ex(−cosx)ex(−cosx)dx
=ex(−cosx)−(ex(−sinx)ex(−sinx)dx)
=−excosx+exsinx−exsinxdx →(*)
次のような1次方程式の解き方を思い出すとよい.
x=6−x → 2x=6 → x=3
これと同様に,もし積分 (I) が自分自身 (I)で表されていれば
I=f(x)−I → 2I=f(x) → I=
I=exsinxdx
I=−excosx+exsinx−I
2I=−excosx+exsinx
I=(−excosx+exsinx)+C (解)
(積分定数は最後に付ければよい.)
注意
 もし、ある関数(例えばex)を微分したのであるならば,その微分も微分しなければならなず,他方の関数(例えば sin x)を積分したのであればその積分をさらに積分しなければならない.
 さもなければ(もし途中で微分の向きと積分の向きを逆にしてしまうと)何も得られず努力は水の泡となる.
fg’dx=fg−f’gdx=fg−(fg−fg’dx)
fg’dx=fg−fg+fg’dx
0=0


問題2次の積分を求めよ.
(正しいものを選べ.
暗算では無理なので,各自で計算用紙を使うとよい.)

(1) x2cosxdx
x2sinx+2xcosx+2sinx+C

x2sinx+2xcosx−2sinx+C

x2cosx+2xsinx+2cosx+C

x2cosx−2xsinx+2cosx+C
(2) x2cos2xdx

(4x2−1)cos2x+sin2x+C

(4x2+1)cos2x−sin2x+C

(2x2−1)sin2x+cos2x+C

(2x2+1)sin2x−cos2x+C
(3) x2e2xdx

(2x2−2x+1)+C

(−2x2+2x−1)+C

(2x2−2x+1)+C

(−2x2+2x−1)+C
(4) (x+1)2e2xdx

(2x2+2x+1)+C

(−2x2+2x−1)+C

(2x2−2x−1)+C

(2x2+2x+1)+C
(5) excosxdx

(sinx+cosx)+C

(sinx−cosx)+C

(cosx−sinx)+C

(sinx+cosx)+C
(6) excos2xdx

(2sin2x+cos2x)+C

(2sin2x−cos2x)+C

(cos2x−2sin2x)+C

(2sin2x+cos2x)+C
(7) exsin2xdx

(2sin2x+cos2x)+C

(2sin2x−cos2x)+C

(sin2x+2cos2x)+C

(sin2x−2cos2x)+C

[注]直前にPC版から入られた場合は,自動転送でスマホ版に来ていますので,ブラウザの[戻るキー]では戻れません(堂々巡りになる).下記のリンクを使ってメニューに戻ってください.
...(携帯版)メニューに戻る

...(PC版)メニューに戻る


■[個別の頁からの質問に対する回答][部分積分について/18.9.22]
logの不定積分で昨日質問したものです。不明点が正しく伝わっていなかったのでもう一度部分積分で疑問に思ったことを書かせていただきます。この項では同じ番号の例題が上の方と下の方にあるので、上下で区別して質問を書いていきます。 上の方の例3,4では、下の方の例1のようには微分する側が0にならないのに、下の方の例2のように部分積分の繰り返しをしなくていいのはなぜなんでしょうか?
=>[作者]:連絡ありがとう.下の方の例1では部分積分の公式において,右辺第2項が既知の関数ではなくて求めたい未知関数自体であるのに対して,上の例3,4では既知の(計算可能な)関数だからです.
【参考】
中学校1年生が,次の問題を解く場合
(1) の場合
が計算可能だからと答えるでしょう.
(2) の場合
右辺のは既知の数ではないから,方程式を立てなおして,にして解くでしょう.
■[個別の頁からの質問に対する回答][部分積分について/18.9.21]
高卒の項の不定積分で、∫(logx)^2 dxが問題としてあったのですが、これをこの項の部分積分の繰り返しのところの表をつかった解き方でといたのですが、答えのx(logx)^2-2x+Cにたどり着けませんでした。微分する側を(logx)^2にしたのですが、微分する側が0にならないため困っています。表を使った解き方で解いてはくれないでしょうか?(表の途中式が知りたいです)
=>[作者]:連絡ありがとう.このページの下の方を見てください.
■[個別の頁からの質問に対する回答][部分積分について/17.2.13]
とっても分かりやすくて良かったです! 参考になりました!ありがとうございました!
=>[作者]:連絡ありがとう.