■方程式の解き方(弱点克服)
x−3=5x+3=5のような方程式から解を求めるためには,次の「方程式の性質」を使って変形します.
【等式の性質1】
A=BならばA+C=B+C
2つの式ABが等しいとき,両辺に同じ数Cを足した式も等しい.
[覚え方]⇒両辺に同じ数を足してもよい.
【例1】
x−3=5(もとの方程式:ここではx−3A,5B

x−3+3=5+3(両辺に3を足した)

x=5+3(左辺の−3が消えた)

x=8(方程式の解)


 「両辺に同じ数を足してもよい」という性質をそのまま使うと,上のように3段階の変形で方程式の解が得られますが,慣れてくればこの変形を「移項」という考え方を使って2段階でできます.
(解説は右の欄)
◎【移項という考え方】
【例1】の途中の変形を見ると
x−3=5(もとの方程式)

x−3+3=5+3(両辺に3を足した)

x=5+3
(もとの方程式の−3を右辺に移動させる(移項する)と
符号が変わる

x=8(方程式の解)
○正しい移項の例
x−2=7

x=7+2
x−1=5

x=5+1

##最も多い間違いの例##
x−2=7

x=7−2
x−1=5

x=5−1
⇒左辺にあった数字−2−1が透明人間のように,そのまま右辺に行くことはできません.
移項するときは符号を変えなければなりません.
##他によくある間違いの例##
「移項するもの」の符号だけを変えること.「足した結果」やそれ以外のものの符号は変えないことが重要.
x−2=7

x=(7+2)
↑これは間違い
x−2=7

x=(7−2)
↑これは間違い
問題1次の方程式を「移項」という考え方で解くときに,正しい変形を選びなさい.(正解になれば次の変形が表示されます)
(1)x−4=7
(2)x−5=−8
(3)x−6=10
(4)x−7=−13

【等式の性質2】
A=BならばA−C=B−C
2つの式ABが等しいとき,両辺から同じ数Cを引いても等しい.
[覚え方]⇒両辺から同じ数を引いてもよい.
【例2】
x+3=5(もとの方程式:ここではx+3A,5B

x+3−3=5−3(両辺から3を引いた)

x=5−3(左辺の+3が消えた)

x=2(方程式の解)


 「両辺から同じ数を引いてもよい」という性質をそのまま使うと,上のように3段階の変形で方程式の解が得られますが,慣れてくればこの変形を「移項」という考え方を使って2段階でできます.
(解説は右の欄)
◎【移項という考え方】
【例2】の途中の変形を見ると
x+3=5(もとの方程式)

x+3−3=5−3(両辺から3を引いた)

x=5−3
(もとの方程式の+3を右辺に移動させる(移項する)と
符号が変わる

x=2(方程式の解)
○正しい移項の例
x+2=7

x=7−2
x+1=5

x=5−1

##最も多い間違いの例##
x+2=7

x=7+2
x+1=5

x=5+1
⇒左辺にあった数字+2+1が透明人間のように,そのまま右辺に行くことはできません.
移項するときは符号を変えなければなりません.
##他によくある間違いの例##
「移項するもの」の符号だけを変えること.「足した結果」やそれ以外のものの符号は変えないことが重要.
x+2=7

x=(7−2)
↑これは間違い
x−2=7

x=(7+2)
↑これは間違い
問題2次の方程式を「移項」という考え方で解くときに,正しい変形を選びなさい.
(1)x+8=2
(2)x+11=−4
(3)x+1=9
(4)x+9=−6

【等式の性質3】
A=BならばA×C=B×C
2つの式ABが等しいとき,両辺に同じ数Cを掛けても等しい.
[覚え方]⇒両辺に同じ数を掛けてもよい.
【例3-2】
x÷2=3(もとの方程式:ここではx÷2A,3B

x÷2×2=3×2(両辺に2を掛けた)

x=3×2(左辺の割り算の2が消えた)

x=6(方程式の解)
【例3−2】
=3(もとの方程式:ここではA,3B

×2=3×2(両辺に2を掛けた)

x=3×2(左辺の分母の2が消えた)

x=6(方程式の解)

◎正しい計算の例
x÷2=8

x=8×2
=8

x=8×2

##よくある間違いの例##
x÷2=8

x=8÷2
=8

x=
⇒左辺の割り算の2(分母にあった2)が透明人間のように,そのまま右辺に行くことはできません.
⇒左辺で割り算になっていた2(分母にあった2)は約分で消えて,右辺では掛け算として登場します.
##他によくある間違いの例##
この変形は「移項」とは関係がない.符号は変わらない.
x÷2=8

x=8×2
↑これは間違い
=8

x=
↑これは間違い
問題3次の方程式について,正しい変形を選びなさい.
(1)x÷3=12
(2)=20
(3)=−6
(4)=6

【等式の性質4】
A=Bならば=(ただしC≠0
2つの式ABが等しいとき,両辺を同じ数Cで割ったものも等しい.
[覚え方]⇒両辺を同じ数で割ってもよい.
【例4】
2x=6(もとの方程式:ここでは2xA,6B

=(両辺を2で割った)

x=(左辺の2が約分で消えた)

x=3(方程式の解)
◎正しい計算の例
2x=8

x=
−3x=15

x=

##よくある間違いの例##
2x=8

x=8×2
2x=8

x=
⇒左辺の掛け算の2が透明人間のように,そのまま右辺に行くことはできません.
##他によくある間違いの例##
この変形は「移項」とは関係がない.符号は変わらない.両辺の符号が変わるのは「負の数で割る」という割り算の規則による場合です.
2x=8

x=8−2
↑これは間違い
=−8

x=
↑これは間違い
問題4次の方程式について,正しい変形を選びなさい.
(1)3x=12
(2)2x=−10
(3)−3x=5
(4)−5x=−8

【まとめの問題】  左右両辺に幾つもの式があるときは,次の手順で解きます.
  1. xが付いている項を左辺に移項し,定数項(xが付いていない項)を右辺に移項します.
  2. ax=bの形にします.
  3. 両辺をxの係数で割って答にします.
 この変形では,ずーっと変形していって2.のax=bの形になるまで我慢します.2.のax=bの形になるまで割り算をしないことが重要です.
 ax=bの形になれば割り算をしたら答になります.
【例5】
2x−3=5(もとの方程式)

2x=5+3(定数項−3を右辺に移項した)

2x=8(←◎この形を目指す!!)

x=(両辺を2で割った)

x=4(答)
【例6】
x+4=3x(もとの方程式)

x−3x=−4xの付いている項3xを左辺に移項し,定数項4を右辺に移項した)

−2x=−4(←◎この形を目指す!!)

x=(両辺を−2で割った)

x=2(答)
【例7】
3x−5=−2x+10(もとの方程式)

3x+2x=10+5xの付いている項−2xを左辺に移項し,定数項−5を右辺に移項した)

5x=15(←◎この形を目指す!!)

x=(両辺を5で割った)

x=3(答)
##よくある間違いの例##
x+4=3x

x−3=−4
↑これは間違い
3x3だけを
移項することはできない.
3x−5=−2x+10

3x=−2+10+5
↑これは間違い
xの係数を勝手に
取ることはできない.
 xの付いている項はxを付けたまま移項することが重要

 ax=bの形になるまではxとその係数は離れない.
問題5次の方程式について,正しい変形を選びなさい.
(1)3x−2=16
(2)7x=5x+6
(3)5x+7=3x−1
(4)−4x+3=−x−12
(5)2x−3=−4x+5
(6)8−4x=−x+3
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■[個別の頁からの質問に対する回答][方程式の解き方(弱点克服)について/17.3.31]
こんにちは。 数学を勉強し直している者です。 掛け算の仕組みについてはおかげ様でよく分かりました。1つ質問なのですが、割り算の仕組みについてもお伺いさせて頂けると嬉しいです。 例えば、4÷x=28÷49について、xが分母の場合の移項はどのように考えて行えばよいのでしょうか。 カテゴリー違いでしたら申し訳ございません。
=>[作者]:連絡ありがとう.分母に未知数xを含む方程式は分数方程式と呼ばれ,通常は中学校の数学では扱っておらず,高校数学で扱います.
f(x), g(x)が多項式であるとき,
分数方程式
は,分母を払った次の方程式に置き換えることができます.
ただし,
これを要約すれば,分母を払って多項式にしてもよいが,「元の方程式」で分母が0になる場合は解とはならないということです.
あなたが質問している問題に当てはめると,次のようになります.
分数方程式
は,分母を払った次の方程式に置き換えることができます.
ただし,
ただし書きでは当然成り立つから,に注意しながら解けばよいことになります.…(1)
より
…(2)
これは(1)を満たすから
この頁(中学生向け)や,この頁(高校生用の復習)に類題がたくさんあります.