== maximaの初歩的な操作9 ==
・・・無理関数の不定積分・・・

○Xmaxima,wxMaxima のインストール方法,基本操作については[この頁]参照
○Xmaximaでは,数式がアスキーアート風に出力されることが多い.wxMaximaでは数学で通常用いる記号に近い形で結果が示される.以下ではwxMaiximaを用いた場合の積分計算の例と答を示す.

○wxMaximaで関数の不定積分を求めるには,メニューから[微積分]→[積分]を選び,対話型メニューに「関数」「変数」を入力して(定積分にチェックを付けないで)「OK」ボタンを押すと
integrate(..., x)
のように,入力すべき式が書き込まれるようになっている.画面上で (%inn) の右にある入力欄を直接書き換えてもよい.

 入力に当たっては,2xなどの書き慣れた記号を2*xと書かなければならないことに注意しましょう.
 以下においてはいずれも積分定数は省略されている.


■教科書や問題集でよく出会う公式
【無理関数の不定積分】
(1) 
○wxMaximaでの入力例
integrate(sqrt(a*x+b), x);
さらに,得られた結果(%)に対して根号を含む式を整理する関数 radcan() を実行した場合
radcan(%);
○結果
積分定数は省略される[以下同様])




(2) 
○wxMaximaでの入力例
integrate(x*sqrt(a*x+b), x);
さらに,得られた結果(%)に対して整式や分数式を整理する関数 ratsimp() を実行した場合
ratsimp(%);
筆算で行う場合は,

または

による置換積分でできる.
○結果




(3) 
○wxMaximaでの入力例
integrate((x+a)*(x+b)^(1/3), x);
筆算で行う場合は,

による置換積分でできる.
○結果



(4) (a>0)
○wxMaximaでの入力例
a>0の仮定は,assume( )で入力できます.
assume(a>0);
次に,不定積分のコマンドを実行します.
integrate(1/sqrt(a^2-x^2), x);
 この関数の不定積分は結果が逆三角関数になるので,高校数学で直接出題することはありませんが,定積分ではこの形の積分は出ます.
 Maximaでは逆三角関数sin−1xあるいはarcsinxを asin x で表すので,この結果を通常の表記で書くと,

になります.
 筆算で行うには,x=a×sintとおいて置換積分します.
(なおの区間を使えばcost≧0です)

となりますが,この変数tを元の変数xに戻すときに逆三角関数が登場します.
○結果



(5) (a>0)
○wxMaximaでの入力例
a>0の仮定は,assume( )で入力できます.
assume(a>0);
次に,不定積分のコマンドを実行します.
integrate(sqrt(a^2-x^2), x);
 この不定積分も結果が逆三角関数になるので,高校数学で直接出題することはありませんが,定積分ではこの形の積分は出ます.
 筆算で行うには,x=asintとおいて置換積分し,半角公式を使ってまとめます.
○結果

a と asin が紛らわしいですが,通常の書き方に直せば

を表しています.

●やや複雑な計算になるもの
(6) 
○wxMaximaでの入力例
integrate(sqrt(x^2+A), x);
このときAが正であるか負であるかによって結果が変わるので,次のメッセージが出ます.
Is A positive or negative?
メッセージの直後に p を入力して,Shift + Enter を押すと( A>0 の場合の結果が得られます)
○結果

双曲線関数の逆関数は,arsinh yと書かれることもあるが,Maximaではasinh yと書かれる.したがって,上の結果は



ここで,最後の項を積分定数に含めてしまうと,高校の数学では次の形が好まれる.
…(*)
再度,積分計算を実行してIs A positive or negative?のメッセージの直後に n を入力して,Shift + Enter を押すと A<0 の場合の結果が得られます.

が得られるが,これは上の(*)と積分定数の差のみ異なるが同じ関数を表している.

(7) (A>0)
○wxMaximaでの入力例
integrate(1/sqrt(x^2+A), x);
このときAが正であるか負であるかによって結果が変わるので,次のメッセージが出ます.
Is A positive or negative?
メッセージの直後に p を入力して,Shift + Enter を押すと( A>0 の場合の結果が得られます)
○結果

双曲線関数の逆関数は,arsinh yと書かれることもあるが,Maximaではasinh yと書かれる.したがって,上の結果は


となるから,積分定数に定数項を含めると
になる.
※高校では,通常この形を使う.

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