== 極限値,不定形の極限 ==
◇解説◇
【関数の極限値】
  関数 f(x) において,xa と異なる値をとりながら限りなく a に近づくとき,f(x) が 一定の値 b に限りなく近づく場合,
f(x) = b

と書き,xa に限りなく近づくときの f(x) の極限値は b であるといいます。
 xa よりも大きな値をとりながら a に近づくときと,a よりも小さな値をとりながら a に近づくのを区別するときは,
各々
 a+0a−0aと同じでないのか?などと小中学生の常識で「計算してしまって」はいけない.


 この+0−0は「近づき方を表す記号」になっている.
f(x)
f(x)
で表わします。左右どちらから近づくかを決めないとき,
f(x)
で表わします。

 特に,x0 よりも大きな値をとりながら,0 に近づくときは
f(x)
0 よりも小さな値をとりながら,0 に近づくときは
f(x)
で表わします。
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【簡単な極限値】
○ 多項式(整関数)の極限値は,関数値(単に値を代入したもの)と等しくなります。
(2x + 1) = 3

(3x2 + 1) = 4

○ 次の図は y= のグラフです。

この図から,次のことが分かります。
= ∞ …(1)

=−∞ …(2)
 単に x → 0 のときは,
 +∞,−∞ が定まりませんので,
 次のように書きます。
 =±∞ (「なし」も可)
= 0 …(3)

= 0 …(4)

○ これらから,次の極限値は直ちに求まります。

## よくある間違いの例 ##
= 0

= ∞

⇒ こんな話をしているのではないことに特に注意

= −∞ …(1)×(-5)

= −∞ …(2)×3

= 0 …(3)×(-2)

= 0 …(4)×6


※数学が苦手という生徒の場合,上の右側に示したような間違いがよくあります.数学の専門家でもギリシャ以来1000年以上も「無限」や「極限」の取り扱いには手こずってきたので,無理もない話です.
 「無限」や「極限」をうまく扱えるようになったのは,いきなり「無限」や「極限」を考えずに,有限の間に勝負を決めてしまうようになってからとも言えるでしょう.
 高校では難しい精密論法に深入りせずに,直感的に理解するようになっていますので,次のように,3個程度の「小さな実験」で行き先を予想するといでしょう.
 このように,「無限」についての話は「すべて有限の話の中で語られている」と考えるのがコツです.

…(1)の場合

x 0.1 0.01 0.001 0
=10 =100 =1000


…(2)の場合

x −0.1 −0.01 −0.001 0
=−10 =−100 =−1000 −∞
…(3)の場合

x 10 100 1000
=0.1 =0.01 =0.001 0


…(4)の場合

x −10 −100 −1000 −∞
=−0.1 =−0.01 =−0.001 0

■問題 次の極限値を求めなさい。
(1)
(x + 2) =
(2)
=
(3)
=
(4)
=
(5)
=
(6)
=


◇解説◇
◇不定形の極限◇

 不定形の極限という用語は,高校の数IIの教科書では使われていませんが,授業,問題集,参考書ではよく使われます。不定形の極限について重要なことは、極限が不定なのではなくて、見かけだけが不定だと言うことです。
 数IIで登場する不定形の極限は,分母と分子の両方が 0 に近づく場合,すなわち「見かけ上」  になっているものを言います。

(数IIIでは,他にも∞-∞など多くの型が登場しますが,数IIでは,  だけです。)

 不定形の極限を求めるには,分母,分子が 0 になる原因を「約分によって」取り除いてから,計算します。


  • 「分子→0以外,分母→0以外」の分数の極限は,普通の分数です。

     例  =

  • 「分子→0,分母→0以外」の分数の極限は,単に0です。(これは不定形とは言いません。)

     例  = 0

  • 「分子→0以外,分母→0」の分数の極限は,単に∞(または−∞)です。(これは不定形とは言いません。)

     例  = ±∞

    (「なし」と書くこともあるが,正負は決まらなくても絶対値が無限になることを示すと,後の応用に役立つことが多い。)

  • 次の式のように「分子,分母の両方とも→0」の形をしているものを「不定形の極限」といいます。

     例 

○ 分母→0,分子→0という形の「不定形の極限」では,分母と分子を因数分解して,両方が0になるという原因を,「約分」によって取り除いてから,極限値を求めます。

  •  例1  = = (2x + 1) = 1

  •  例2  = = ±∞

  •  例3  = 4x = 0

  •  例4  = = (x + 1) = 2
※ 例1で x で約分できるのは,「 x が 0 でない値をとりながら限りなく 0 に近づく」ので, x ≠ 0 だからです。

 また,2x + 1 = 1 となるのではありません
 = という記号を使っていますが,2x + 1 が 1 になるのでなく,2x + 1 の極限値が 1 になるということです。

※ 極限値と関数値の違いは,主に数IIIで扱いますので,数IIで深入りするのは得策ではありません。
○ 次のような式では,極限の計算をするときに,lim の下の→の前に書かれた文字だけが変数で,他の文字は定数と見なします。
 例 f’(a) = =

= 2(x + a) = 4a


 例 f’(a) = =

= (4a + 2h) = 4a

■問題 次の極限値を求めなさい。(ヒントが必要なときはを押しなさい.採点は最後にまとめて行います.)
(1)

=
(2)

=
(3)

=
(4)
(−1)

=
(5)

=
(6)

=
(7)

=
(8)

=
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■[個別の頁からの質問に対する回答][極限値,不定形の極限について/17.7.8]
nについて何も但し書きがなく、lim n→∞ cos(nπ/2) の極限を調べよ。 解答:n=1,2,3,4・・・とすれば、0,-1,0,1・・・だから振動する。とありますが nは自然数とは限らないんで、こういう書き方はまずくないのですか?
=>[作者]:連絡ありがとう.
(1) この頁を全部見ましたがそういう内容はどこにも書いてありません.どこか他のサイトや他の参考書に書かれていた記述について,当サイトの管理人に苦情を述べておられるのでしたら「江戸の敵を長崎で」の類で,こちらは事情がよく分かりませんので答えにくいです.
(2) 内容的には,引用されている文章を見る限る「あなたの全面敗北」「教材の全面勝利」です.
すなわち,実数か整数か分からないについて

が収束する場合には「どのような近づき方をしても特定の値に近づく」と言えなければなければなりませんが,「ある近づきかたをすれば,どこまで行っても異なる値を取る」と言えれば,その否定になります.
(2.1) 解答:n=1,2,3,4・・・とすれば、0,-1,0,1・・・だから振動する。
でもよろしいが
(2.2) n=1,3,5・・・とすれば、1,-1,1・・・だから振動する。としても証明になります.
(2.3) nの実数値にこだわれば,とすれば,どこまで行ってもとなりますが,このような答案を好む受験生も採点官もめったにいないでしょう.
(2.1)(2.2)の答案の方が歓迎されるでしょう.
(要するに,ある近づき方をしたときに,特定の値に収束せず,振動する例を示せば十分なので,なるべく単純な例を示せばよいことになります)
このように,「収束しないことの証明は収束しない近づきかたの例を1つ示せばよい」ことになります.
(3) 思いが強くて正義感が強い場合に,その思いを検証する別の心的過程も持ち合わせていないと,SNSなどで炎上の加害者になりやすいと言われています.お互いに気を付けたいものです.