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== 指数法則 ==
 この教材のレベルは,高等数学Tの教科書のレベルです.応用的な内容を期待される方は,他のページを見てください.
 数学Tを初めて学ぶ人や長年の空白期間の後に復習したい人など,初歩から学び直す読者を想定しています.
1. 指数法則
 このページで扱う指数法則は,指数m, nが正の整数の場合に限ります.mnが,0,負の整数,分数などでも同じ形の指数法則が成り立ちますが,その解説は数学Uの指数法則を見てください.
 nが正の整数のとき,文字an個掛けたものをanといい,anで表す.このとき,nan指数という.
 a, a2, a3, ···をまとめてa累乗という.
n
【例】
23
4
5

特に,指数を省略した場合,a
a=a1
を表す.
【指数法則】
m, nが正の整数のとき
aman=am+n・・・@
(am)n=amn・・・A
(ab)n=anbn・・・B
(解説)
@←
この指数法則は
am×an=am+n・・・@
と書くこともできます.
【例】
a2×a3=a2+3=a5
a3×a4=a3+4=a7

【危険な落とし穴1】
次のような間違いに注意してください.


指数の掛け算にはならない

指数の掛け算にはならない

(@の証明)
m
n

m+n

このように,am, anを指数の定義にしたがってaの積で表すと,合計m+n個の積になるから,am+nに等しくなる.
am, an を指数の定義にしたがってaの積」に直して考えるという作業を一度はゆっくり確かめて置くことが重要です.この作業を飛ばして,公式の暗記だ!と急いでしまうと,「掛け算」に目が行って,短絡的な間違いが起こりやすくなります.
【危険な落とし穴2】
次のような間違いにも注意してください.


(Aの証明)←
n
m
m
m

m個のan組あるから,合計m×n個の積になる.
amn
【例】
(a2)3=a2×3=a6
(a3)4=a3×4=a12
【危険な落とし穴3】
特に指数計算の優先順位が指定されていない場合や指数計算を先に行うことが括弧によって明示されている場合は,指数を先に計算します
a(23)=a8
a23=a8
これに対して,この指数法則では,底aの計算を先に行うことが明示されている
(a2)3=(a×a)×(a×a)×(a×a)=a6
【チャレンジ】・・・指数計算の勘を鍛える!
 0から9までの数字を3個を使って書ける一番大きな整数は幾らか?という問題がある.
(1) これに対して,999と答えれば,18桁の整数(91京3517兆2474億8364万0899)になる.
(2) (99)9=981と答えれば,78桁の整数(19 6627 0504 7555 2913 6180 7590 8526 9121 1628 3103 4509 4421 4766 9273 1541 5537 9663 9119 6809)になる.
(3) 999と答えれば,95桁の整数(295 1266 5430 6527 5214 8753 4802 2619 7736 3143 5927 2517 0438 3288 6063 8846 3767 6943 4334 7802 0332 7094 1100 4889)になる.
(4) 最大になるのは999=9(99)←指数の部分を先に計算する ⇒ 9387420489は,369693100桁の整数になり,とてもこの欄には書き切れず,1秒間に5桁ずつ読み上げても,全部読むためには,2年と147日かかる(もちろん筆者は,読んでいない.)
(Bの証明)←
n


【例】
(ab)3=a3b3
(2a)4=24a4=16a4

 次の式を計算してください.
【問1.1】
a4×a2
解答を見る
【問1.2】
3a2b×5a3b2
解答を見る
【問1.3】
(a2b)3
解答を見る
【問1.4】
3xy2×(−2x3y)
解答を見る
【問1.5】
(−x2)(−2x)3(−x2)2
解答を見る

【問1.6】
(−2x2y)3×5x3y2
解答を見る
【問1.7】
(−2ab2)2×(−3a2b)3
解答を見る

2. 補足説明
 このページで扱う事柄は,中学校2年の数学で習った内容の復習になっています.
ただし
• 中学校の数学で,指数m, nが正の整数の場合に限られることは同じです.
• 中学校の教科書では「指数法則」という用語を使わず,単項式の乗法・除法と言うのが普通です.
• 割り算もあり,割り算は分数で表します.(この場合,割る式の方が次数が高いとき,数学Tまでは,分数のまま答える.数学Uになれば負の指数も使います)
【単項式の乗法・除法】・・・中学校の復習
m, nが正の整数,a, bが正の数のとき
aman=am+n・・・@
(am)n=amn・・・A
(ab)n=anbn・・・B
・・・C
 以下の問題は「(A) 割り算を含む計算」「(B) 中学教科書レベルの計算」の追加問題です.

(A) 割り算を含む計算

(注意)
 中学校1年の時に,文字の間にある「掛け算」の記号(×)は,省略できることを習います.
【例1】
 しかし,「掛け算」の結果としてできた「積」は1つの数になり,割り算を含む計算の中で

のように「掛け算に戻す」と間違いが起こるので,要注意です.
【例2】
←間違い
←正しい
←間違い
←正しい

■要約■
「掛け算する前は2つの数」でも「積」は1つの数になる.他の掛け算や割り算の中に「積」を入れるときは、かっこ( )を付けるとよい.

 次の式を計算してください.
【問2.1】
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【問2.2】
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【問2.3】
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【問2.4】
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【問2.5】
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(B) 中学教科書レベルの計算

 このページの問題が難しいと感じる場合は,次の中学校2年数学の教科書レベルの問題から練習してください
【問3.1】
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【問3.2】
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【問3.3】
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【問3.4】
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