○右図1のような立体[分かりやすくするために階段状に表示しているが,実際は滑らかな局面で囲まれているものとする]の体積(縦棒の体積の総和)は,面積要素ds=dxdyに高さz=f(x, y)を掛けて得られる体積要素
dV=f(x, y)ds=f(x, y)dxdy の総和として,定義域D上の重積分 f(x, y)dxdy で求めることができます.
図1
○f(x, y)が連続関数で,各変数の定義域がa≦x≦b, α≦y≦βであるとき,この重積分は
![]() ![]() ![]() または ![]() ![]() のように,1変数の積分の繰り返しによって行うことができます. (1)は右図2のように,まず変数yを固定して,各々のyについて,xで積分し(図で示した壁の面積S(y)を求めて),次にyの関数として表されたその面積をyで積分することによって体積を求めることに対応しています.
図2
(2)は図3のように,初めにxを固定してyで積分し,図で示した壁の面積S(x)を求めて,次にxで積分するものです.![]()
図3
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() のように計算できます. 一般に,図4(その平面図が図5)のように積分領域Dの境界線が長方形でなく,変数x, yの値に依存している場合 ![]() ![]() のように,固定された変数yの値に依存する積分区間 a(y)≦x≦b(y)についてxで積分し,できた面積S(y)(これはyの関数になる)を積分区間α≦y≦βについてyで積分します.
図4
![]()
図5
もしくは
![]() ![]() ![]() のように,固定された変数xの値に依存する積分区間 α(x)≦y≦β(x)についてyで積分し,できた面積S(x)(これはxの関数になる)を積分区間a≦x≦bについてxで積分します.
図6
![]() ![]() 図7の場合は,初めに縦に切る(赤線)と(先にyで積分すると)積分区間の下端と上端は場合分けの必要がなく1組で済みますが,初めに横に切る(青線)と(先にxで積分すると)積分区間の下端と上端は,図の水色の領域の場合と黄色の場合とで,積分区間の組合せが異なってきます. |
【例1】
(解答)![]() ![]() ![]() を計算してください. (x+2y)dy=xy+y2
↑どの変数に代入するのかを明示するために,このような書き方も可能
=2x2
2x2dx== …(答)
|
【例2】
D : x2+y2≦1, x≧0のとき 重積分2xy2dxdyを計算してください. ![]() 各々のyに対して x=だから 2xy2dx=x2y2=(1−y2)y2=y2−y4 (y2−y4)dy=y3−y5= …(答) |
問1次の重積分を計算してください.
1
2
3
41
52
解説![]() ![]()
(x2+y2)dy=x2y+=x3
x3dx=x4= …(答)
→ 2
|
問2次の重積分を計算してください.
1
2
3
4
5
解説![]() ![]()
2xy dy=xy2=x3−x5
(x3−x5)dx=−=−= …(答)
→ 5
|
問3次の重積分を計算してください.
1
2
3
4
5
解説xy dxdy( D : x2+y2≦1, x≧0, y≧0 ) ![]() xydx=y =(1−y2)y=y−y3 (y−y3)dy=y2−y4=→ 3 |
問4次の重積分を計算してください.
x dydx( D : x2≦y≦x+2 )
1
2
3
4
5
解説![]() x dy=xy =x(x+2)−x3=−x3+x2+2x (−x3+x2+2x)dx =−x4+x3+x2=...= → 2 |
問5次の重積分を計算してください.
1
2
3
4
5
解説(x−y)dxdy( D : y≦x≦ ) ![]() (x−y)dx=−yx =(−y)−(−y2) =+−y (+−y)dy=+ −y =+−=→ 5 |
問6次の重積分を計算してください.
(x+y)dydx( D : x≦y≦2x, y≦1 )
1
2
3
4
5
解説![]() (x+y)dx=+yx =(+y2)−(+)=y2 y2dy=y3= |
![]() ![]() |
■[個別の頁からの質問に対する回答][重積分...積分領域が変数に依存する場合について/17.3.30]
積分順序を一通りではなく二通り書いてくれたらありがたいです。
=>[作者]:連絡ありがとう.積分順序の変更は1つの大きなテーマになりますので,その次の頁に書いてあります. |